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“空手の秘伝書”求め…武道家一族雪山で遭難

1メートルもの雪が残る白神山地で、南国から来た武道家一族が迷子に。死の行軍じゃあるまいに…

 マタギで知られる青森県西目屋(にしめや)村の白神山地近くで4日夜、シンガポールから来日した中国系武道家一族ら13人のうち男性3人が雪道に迷い、5日未明に弘前署に保護された。シンガポールで道場を経営していた武道家の遺族らで、「遺言で日本の空手の伝承者に会えと言われ、探しているうちに迷った」と説明しているという。
 弘前署によると、一行は5年前に病死した武道家の妻と息子2人とその友人たちで、3月22日に来日し、4月3日に青森県入り。まずは下北半島の霊場・恐山などを訪れ、続いて白神山地方面へ転進した。
 「白神の『神』の字に興味をひかれたようだ」(捜査幹部)。寒さで体調を崩した4人を除き、4日午前から3人ずつ3班に分かれて伝承者の捜索を開始。途中までバスで進み、武道家の長男を含む班は徒歩で山道に分け入ったが、あえなく遭難した。「1メートル近い雪が積もっており、道と畑の境目が見えなくなっていた」(同)。
 長男らは午後7時ごろ、仲間の携帯電話に「雪道で進めない。道に迷った」とSOS。仲間が地元観光協会の通訳とともに弘前署に届け出て、5日午前1時過ぎに救出した。3人は野菜畑にあった廃車の中で暖を取っていた。「来日前、日本は20度くらいと聞いていたようだ。半袖で来日し、日本で長袖を買ったが、それでもかなり軽装だった」(同)。
 亡くなった武道家は、2人の息子が武道に興味がないうえ、道場にあった“空手の秘伝書”も弟子に盗まれたことから、死に際に「日本の北端で、山中で修行する極真空手の伝承者がいる。会って秘伝書を譲り受けよ」と遺言したという。
 一行は「もう少し探してみます」と話しているが、捜査関係者は「地元で武道家の話なんて聞いたことない。また遭難されても困る。正直、あきらめてほしい」と苦り切っている。
ZAKZAK 2006/04/06

 
 脳みそにドカーンとパイルドライバーを入れてくれました。まさに男の夢「空手の秘伝書を求めて」です。決して日記を書くために過剰な反応をしているわけではないのですが、ここまで奇天烈だとやはりこの話題を自前の秘伝書(クレヨンの巻物)に書き残すしかありません。おそらく数年後、この日記を読み返したときにもパイルドライバー級の衝撃が走るような気がします。まあ、パイルドライバーは大げさですね・・・アントンの鉄拳制裁くらいかな?

 おそらくですね、このシンガポールの中国系武道家一族は大山倍達を指して日本の空手の伝承者と言ったように思います。“極真空手”に“山での修業”と来れば大山倍達しか思い当たる人物がいません。もう死んでしまいましたけどね。確か朝鮮系の人物だと思いましたが、Wikiで人物像を確認しますと、

全羅北道 金堤郡(現:金堤市) 龍池面 臥龍里にて、父・崔承玄(チェ・スンヒョン최승현)と母・金芙蓉(キム・ブヨン김부영)との間の6男 1女の第4子として生まれた(東京市杉並区出身としている場合もあり)。本名は崔永宜(チェ・ヨンウィ、최영의)。他にも崔猛虎(チェ・メンホ、최맹호)、大山虎雄、崔倍達(チェ・ペダル、최배달)などを名乗っていた事もある。日本名にも使った「倍達」とは、檀君神話に登場する伝説上の古代王朝、倍達国から。朝鮮人は「倍達の民」「倍達民族」を美称として使うことがある。
幼少期は満州と朝鮮半島で育ち、16歳で大日本帝国海軍の山梨県の山梨航空機関学校(現日本航空学園)に入学、特別攻撃隊を志したが終戦を迎え卒業した。拓殖大学司政科卒業、早稲田大学体育科中退。
空手は、1938年9月に船越義珍に師事、その後松濤館流と剛柔流を主に学び、終戦後は千葉の清澄山などでの山籠りの修行。1947年に京都で開催された戦後初の空手道選手権で優勝。1952年、プロ柔道の遠藤幸吉四段と渡米、1年間ほど滞在して全米各地で空手のデモンストレーションを行いながら、Mas. Togoのリングネームでプロレスラーやプロボクサーと対決したとされる。ビール瓶の首から上の部分を手刀で切り落とした時、観客は驚嘆し、「Hand of God」「Miracle Hand」などと形容される。


と書かれています。インターネットユーザーが書き込むWikiなので100%正解かどうかは保証がありませんが、99.8%くらいの確率で合っていると思います。まあ、上のWikiは信用して大丈夫です。朝鮮半島出身ですが、たぶん工作活動はやっていないと思います。当時の全羅道出身(旧・百済国。被差別地域)ですし、大東亜戦争中に日本に来ています。しかも現在のように日本の植民地支配プロパガンダが朝鮮で常識になっていなかった頃ですから、ここでは空手の大山氏とだけ認識しておきます。

 しかし大山氏の経歴は今日の重要テーマではありません。重要なのは空手の大山氏(※記事に該当する架空の空手家を“空手の大山氏”と呼ばせてもらいます)を探しに来たシンガポール武道家遺族のような「誰がそんな話を垂れ流しているんだ?」とびっくりしてしまう日本像についてです。

 日本と言えばカラテを連想するのは世界に出て行った数多くの武道家の存在があるからで、決して間違った事実ではないでしょう。特にマス大山の影響は大きく、空手家が世界で活動するきっかけになったのではないでしょうか。それ自体は良いのですが、問題は日本のイメージが世界に出て行く人のイメージなってしまうことです。日本列島にいる人達がフツーの日本人なわけで、ブラジルに行った前田光世やアメリカに行ったマス大山のような人は少ないのです。今では日系企業が日本のイメージでしょうか。ウワサで聞いているだけですが、一部大企業の素晴らしい活躍で日本人は未だにみんなお金持ちだと思われているフシがあるようです。日本もフランスの若者層みたいな状況になりつつあるわけで、もっと正確に情報を発信しないと事実を誤認されるだけです。外国メディアの流す日本像は「これは一体どこの国だ?」と思うようなモノもあります。日本でもブランド物やベルサイユのばらをフランスのイメージにしている人が多いですが、これが偏った外国像というものです。日本だけでなく、外国のニュースも見るとあまりに偏向したイメージを抱くことはないと思いますが、フランスと言えばブランド物をイメージさせないと女性の視聴率が取れない、という話もありますね。メディアの商業主義も原因にあるでしょう。

 武道の秘伝書の方は、現在では記憶媒体が進化してビデオテープやDVDがありますから、そんなもの存在するはずがありません。秘伝書と呼ばれるテキストがあったのは、紙が記憶媒体であった時代の話です。「一本背負い」や「払い腰」は今ならテレビを通して全員が知っていますが、紙の時代は秘伝書に技のかけかたが載っていたのです。弟子は秘伝書を書き写して<忘れないようにする>わけです。プラズマテレビやインターネットがある現在とは話が違います。シンガポールの武道家も記憶媒体の違いをわきまえていれば、遺族を遭難させずに済んだでしょうに(吉田秀彦や山下泰裕から直接習わないと、真の意味での吸収はできないでしょうが)。まあ、起きてしまったことは仕方がないです。武道家の遺族にはこれ以上遭難者が出ないように「秘伝書を見たけりゃ日本の年末格闘技をテレビで観れば、それでいいんだ」と伝えてあげてください。彼ら以上の超ド級ファイターが山の中なんかにいるわけありません。

 ところで空手の大山氏の経歴から山篭りと言えばカラテのようなイメージを持っている人多いですが(大山倍達氏の山篭りは実はウソ話。最近になってようやく真実が出始めました。大山氏が若い頃、朝鮮総連と民団の間で紛争が起こり、民団側に参加したことで「空手の大山」と朝鮮総連で有名になったのです。)、山篭りは左道の修行者がやることです。修験道とも言います。左道の歴史に関しては記憶だけで書いてしまいますが、平安時代に天皇勅令により都の外での山岳修業は禁止されたはずです(室町時代だったかな?)。理由は修業と名乗って不逞の輩が徒党を組むからです。山篭りをする修行者は「治安を乱す山賊連中」というマイナスイメージなのです。今でも四国のお遍路さんには、警察から逃げ回っている犯罪者が多いらしいですね。

 例外的に山に住んでいても不思議ではない人達がいます。それはマタギ部落の人達です。部落と言うと同和を指す場合が多いですが、マタギ衆が住んでいる場所も部落と呼びます。今ではほとんど観光地になっていますが、かつては山の神主が住む聖なる場所であったのです。山の霊気を吸ったマタギが町に降りて神主をやることもあったようです。マタギ語で会話をする人達がまだいるのかどうか知りませんが、もしいたとしたら日本古代の民衆文化を唯一残している人々かもしれません。でも、外国メディアがマタギ特集をやったら、さらに日本のイメージを偏向させそうです。マタギ部落を中心とした山神信仰は本当にありますけど、神道の一形態として紹介するなら問題ないでしょう。山神信仰・鍛冶神信仰・国祖神信仰(国祖神だけは今でも神社に祀られていますね)etc.etc..の違いはスンニ派とシーア派ほどの違いがあるわけではないですし。

 偏らずに国家の姿を伝える姿勢を持つのは、実際は不可能に近いのかも知れません。メディアの位置づけは兵器であるからです。扇動・洗脳・事実封じの効果があればこそメディアは保護されるのですが、そのせいでいろんな国のいろんな国民が訳わからない事実(?)を信じていたりします。そんな状況で「日本のこういう事実を伝えて欲しい」と外国メディアに願うのは無理なわけですが、なるべくがんばって欲しいものです。がんばる、というのは我慢にがんばるのではなく、工作にがんばる、ということであります。

 なんだか随分まじめな結論になってしまいました。最後から二段目辺りを書いているうちに、パイルドライバーから立ち直ったようです。とにかくヘンテコな情報を誰かに信じさせられて、無人の冬山になど入って凍死した日には目も当てられません。

 それにしても、最初から最後まで話の筋、通ってるんかな?今日もムダに文が長い・・・。
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